小鳥さんの話
CATEGORY : [その他]
昨日から、ハノイには珍しく湿度が低くカラッとした
気持ちの良い季候になりました。
キラキラとした太陽の下、走り回るさくらっこ達に
清々しさを感じます。

そんな気持ちの良い朝、
「せんせー、きてー!!大事件!!」
と、子供達がお椀を持って走ってきました。
何事かと、のぞき込むと・・・
そこには1匹のちいさくちいさく、どす黒くなった小鳥が。

どうやら、巣から落ちて死んでいたようです。

まだ毛も生えていない、ちいさなちいさな小鳥。

思わず「きゃっ」と悲鳴を上げてしまいました。
隣にいたC先生も「きゃー」と小さく悲鳴。

でも、子供達は「かわいそう」「どーする?」とずっと
小さな小鳥が入ったお椀を大切に持っています。

あっという間に、「どーしたの?」と他のお友だちも集まって黒山の人だかり。

「あのね、小鳥が巣から落ちて死んじゃったんだって。」
というと、無邪気に
「見せて、見せて!」の声。
一瞬、見せて回る物?という思いが頭をよぎりましたが
隠すよりも、「死んでしまった小鳥はこんな風になる。」と言うことも
伝えるべきだと判断して、みんなに見せてみました。

すると、誰一人としてふざけたり笑ったりする子はいません。
一様に静かに、じっと見入っています。

そして、みんなでお墓を作ることにしました。

やわらかいお布団に包んであげようと、テッシュでくるみ
その上に、子供達が1つ1つ丁寧に積んでくれたお花を一緒に
土に埋めて、手を合わせました。



小鳥を埋めていると、子供達の中からこんな声が
「毎日、ここでお参りしてあげようと。
 僕の1人のおじいちゃん、死んじゃったからそうするって知ってるよ」
「鳥って、焼いて食べられるんだよ!」
「お母さんが、探しに来るかな?」
「おしりから、血出してたからきっとおしりから落ちたんだよ」
「お水もあげないと!」

本当に、たくさんの声が聞かれます。
残酷な様な声も、確かに事実です。
死に直面した子供は、死について理解しています。
こういう経験を通して、少しずつ「生命」があり「死」
があることをなんとなく、知っていくのです。
そして、もう少し大きくなったときに心から本当の意味を知り
そこに、感情がプラスされるのです。

年長さんが、お墓の文字を書いてくれました。

  
すずらん&さくら組さんには、朝の会で「小鳥さんの死」について
話を聞かせてみました。
いつもは、元気いっぱいのさくらっこもしっかりと耳を傾け話を聞いてくれました。

小鳥を見ていない子の中から「見せてー!!」との声。
「もう土に埋めてしまったから、見せてあげられないの。
 見たお友だちは、どんな感じだった?」
と聞くと、
「紫だった」「小さかった」「動いてなかった」「気持ち悪かった」
そう。ここでも、子供達の素直な心の声。

先生達も、少しびっくりして「きゃっ」と言ってしまったよ。
でも、死ぬと言うことは動かなくて、肌の色も紫や黒に変わってしまう。
小鳥さんは、お母さんにももう会えないんだよ・・・。

どこまで伝わったかは、分かりませんが
子供達の心には、きっと何かが残ったはず。

園庭で、遊んでいた男の子達。
そっと、しゃがみこみお墓を眺めていました。



小鳥さん、安らかに眠って下さいね。
誰かが言ってくれました。
「お母さんが、死んだら天国でまた会えるよ!」
それまで、お友だちと仲良く飛ぶ練習していてね。

(たこ)

ベトナム・ハノイの日系幼稚園 さくらHoaAnhDao幼稚園ホームページ




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2016年05月17日  13時49分
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